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            ミヤシタ マイコ
            Miyashita Maiko
           宮下 摩維子 所属 法学部 所属 職位 講師  | 
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| 言語種別 | 日本語 | 
| 発行・発表の年月 | 2022/10 | 
| 形態種別 | 大学・研究所等紀要 | 
| 標題 | 仲裁判断における実体法の適用と国家裁判所への上訴制度 : 1996年英国仲裁法69条について | 
| 執筆形態 | 単著 | 
| 掲載誌名 | 駿河台法学 | 
| 掲載区分 | 国内 | 
| 巻・号・頁 | 36(1),111-180頁 | 
| 総ページ数 | 70 | 
| 概要 | 本論文は、英国の仲裁法では国家裁判所への上訴制度が古くから設けられている事実を踏まえ、当該制度の存在は仲裁判断の既判力になんらかの影響を与えているのではないか、という仮説を出発点とするものである。日本法においては、仲裁判断の効力は仲裁法45条が確定判決と同一の効力を有すると定める。しかし、英国法において、上述のように国会の裁判所への上訴を認めるのであれば、そのもとになされた仲裁判断は真の意味で終局的判断であるとは言えず、確定判決よりも弱い既判力しか有さないのではないか。これを検討する前提として、本稿ではイングランド・ウェールズの1996年仲裁法における国家裁判所への上訴制度を詳らかにした。
 英国は古くから商業・産業の中心地として発達しており、仲裁はその発達に伴って増加していった紛争を私的に解決する機関として存在感を示していた。しかし紛争解決制度は国家の支配権の象徴であったため、国王裁判所は仲裁に対し介入を試みた。国王裁判所、後の国家裁判所は、仲裁判断への法的効力の付与如何で仲裁廷に影響を与え、仲裁も国家裁判所へ歩み寄っていくことによって仲裁判断の法的拘束力を強めていったものと考えられる。  |