フクシマ タイガ
Fukushima Taiga
福島 大我 所属 法学部 所属 職位 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2019/10 |
形態種別 | 学術雑誌 |
招待論文 | 招待あり |
標題 | 中国古代における逃亡の歴史的意義 |
執筆形態 | 単著 |
掲載誌名 | 歴史学研究 |
掲載区分 | 国内 |
巻・号・頁 | (989),37-46頁 |
概要 | 前近代において、国家の把握する人口の多寡と国力は密接な関係をもち、中国の王朝でも戸口の維持と増加に大きな関心が払われていた。本稿では、近年公表がすすむ秦漢時代の簡牘史料において散見される、国家による把握からの逃亡行為と、それへの国家の対応を分析・検証し、当該期の社会の様相と国家の特質についての解明を試みた。
まず、律文などにみえる逃亡の防止・監視規定から、当該期の国家が郷里社会をいかに把握しようとしていたかを追究した。これを踏まえ、裁判文書などから、法と実態との乖離について触れ、そこから郷里社会(とその周縁)における人的結合関係についての検討を行なった。 その結果、秦・漢「統一国家」において、その治下の社会・個人には国家とは異なる論理、あるいは国家の枠には収まらない様々な可能性が存在していたことを明らかにした。そして、このような状況から、前漢後半期において、皇帝を頂点とする支配のシステムが選択の余地なく厳然と存在する(かのようにみえる)状況に展開していくという見通しを示した。 |